ベーシック・インカムとは?①
ベーシック・インカムとはなんでしょうか。
まだまだ勉強中の身ですが、簡潔に述べてみます。
全ての国民一人一人に、最低限の生活を保障する一定金額を、国が国民に無条件で定期的に給付し続ける制度
一種の社会保障です。なかでも所得保障に該当し、既存の「生活保護」と似ています。しかし、これらの制度により作られる社会は、根本的に異なります。
生活保護の場合、収入や資産の有無などの支給条件があります。目的は、「生活に困窮する人々」という限られた条件の人々の生活を保障する制度です。しかし、実質的には生活保護受給者でなくても生活に困窮する人々、とりわけワーキングプアに該当する人々は存在するので、「不平等さ」が生まれます。そのため、生活保護を支給することで、全ての国民の最低限の生活を保障できるわけではないのです。
一方、ベーシック・インカム(Basic Income: BI)には支給条件がありません。生活保護のような所得条件、年齢、受給期間、世帯数に対して制限がないので、その国の国民であれば、0歳だろうが100歳だろうが、年収100万円だろうが、1,000万円だろうが、労働していようがいまいが、全ての国民一人一人に支給されるのです。それにより作られる社会というのは文字通り、全ての国民の最低限の生活の保障です。
1970年代にヨーロッパで議論が起こったのが始まりだそうです。これまで欧米諸国を中心に自治体レベルでのテスト導入はすでに実施されていますが、国家として導入に至ったケースはまだありません。日本では、地域通貨という形で幾つかの自治体が実施していますが、BIという概念において国レベルでの実動的な動きはまだありません。
ベーシック・インカムが導入されると、どうなるのでしょう。
人々が労働をしなくなったとき、何をして生きるのか?
お金のために働かなくて良い世界で、人々は何をして生きるのか?
そこは、どんな世界なのか?
こうした湧き上がる関心を胸に抱きつつ、BIとそ先にある社会について、探求していきたいと思います。
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はじめに
2016年4月、会社を辞めて駐在していたミャンマーから日本に帰国。
海外から日本に腰を据え、世界の変化と変容に強い興味と関心を持っています。
84年生まれ31歳。20代はといえば、半分を海外で過ごしていたこともあり、というのは半ば言い訳で、ただ多くの若者と同じように、日本の政治には興味がありませんでした。しかし、今では日本だけでなく世界情勢や時代の変化に興味を抱いています。
2012年9月から滞在していたミャンマーは、前年3月に軍事政権から民主政権に移行したました。政治・経済情勢は日々目まぐるしく変化していたので、それらに関心を持ち情勢を追うことは、その国に住む人にとっては当たり前のことでした。
3年半の駐在生活を終え、2016年4月に日本に帰国。ベースをミャンマーから日本に移すと、自分のアンテナがミャンマーやASEANという狭い範囲に絞られていたことに気づかされます。すると、興味・関心は自然と日本や世界情勢の変化へと移っていきました。
とりわけ、興味あることの一つにシンギュラリティがあります。日本語で技術的特異点といいますが、テクノロジーが人間の知能を超える時点のことをいいます。テクノロジーの進化により人間の生活が今後どのように変化していくのか。人間の仕事が機械に代替される将来、そんな世界で人間は何をして生きるのか。
そんな興味・関心を持っていたなかで知ったのが「ベーシック・インカム(Basic Income: BI)」。きっかけは、2016年6月に実施された、スイスでのBI導入の可否を決める国民投票が実施されたというニュースを聞いた時でした。当時は、シンギュラリティとBIは別個で興味を持っていたのですが、この二つはとても親和性が高いです。テクノロジーの進化により、人間の仕事は人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)に代替され始めています。人間の労働はどんどん不要になり始めています。生きるために労働している人々が大多数の現在、将来は労働が不要になります。しかし貨幣経済である限り、生きるためにお金は必要です。そこで検討されているのが、生活に最低限必要な金額を国が無条件で支給するというBIのシステムです。一種の社会保障で、北欧を中心とする欧米諸国では導入に向けた動きがすでに始まっています。
日本でもBIは話題としては取り上げられてはいるようです。海外でBIの動きがあればメディアに扱われたり、その度にインフルエンサー達が発言したり、またある政党は政策の一つに掲げているようです。しかし、諸外国のようにテスト導入は実施されておらず、専門機関や組織などもほとんどないような状況のため、話題に上がることはあっても具体的導入に向けた動きはまだないようです。書籍やサイト等で調べていますが、専門家は少なく、特に日本語での情報リソースは限られています。
日本でのこのような現状において、自らの勉強も兼ね、日本語での情報量が少なく導入に向けた動きが加速していないBIを、本サイトで情報を集約し発信することで、単なる情報サイトにするだけでなく、日本でのBI導入に向ける一手を担えればと思っています。
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