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変容する世界

ーベーシック・インカムのある社会ー

ベーシック・インカムがある世の中を想像してみる②

前回に引き続き、ベーシック・インカム(BI)がある世の中について、疑問や想定されるケースを追ってみたいと思います。

 

⑤貧困の削減

BIの導入においてよく云われているいる目的・効果の一つが貧困の削減です。想像しやすい状況かと思いますが、日本のような先進国においては、広がる格差社会で生まれたワーキングプア生活保護受給者に該当する人々の貧困はなくなるでしょう。後発国においては、(財源確保の課題はここで触れないとして)30億人いるといわれる1日2ドル以下で生活する人々の貧困が消滅します。世界の富の99%を所有する全人口の1%の人々というピラミッドが、よりフラットに変化していくのではないでしょうか。副次的には、貧困差別が減少し、侵害されていた個人の人権がより尊重されていくのではと思います。

 

⑥階級社会の崩壊

イギリスをはじめとする、ヨーロッパやインドに今でも根付く階級社会。これは過去の遺物になるのではないでしょうか。階級を分ける身分は位や権力に紐づいているので維持されると思いますが、高位層を支える最も人口が多いピラミッドの最底辺の人々の階層が消えます。すると、土台を支えていた階層がなくなりバランスは必然的に崩れるでしょう。このピラミッドバランスは、人口比率という意味でも崩れるだろうし、労働という側面から見ても崩れるでしょう。底辺層の労働によって支えられている高階層の人々の暮らし、その土台が減少するのでしょう。そして位や権力というものは、ますます名目的で便宜上なものとなるのではないでしょうか。

 

⑦資本主義社会の崩壊

個人的に最も興味があり実現可能性が高いと思っているのが、資本主義社会の崩壊です。というのは、BIのある社会では既存の経済活動システムが根本から崩れ去ると思うからです。AIやビッグデータが産業構造を変革し、経済社会をも変革し得るとはすでに言われていることです。

人口の大多数を占める一般層の労働によって成長してきた日本の戦後経済。今やもはや経済成長は停滞していて、今後はこれ以上成長の見込みはないと思っています。というのは、経済供給がとうに需要を超えているからです。商品・サービスが飽和していて、消費が足りていません。アベノミクスでいくら企業が増収増益になっても、被雇用者に還元されない限り個人の生活は潤いません。消費は増えません。労働・消費人口はともに減るばかりです。その先に経済成長はあるのでしょうか。すでに、経済活動は鈍化しています。既存社会はこれ以上の経済成長を求めていないと言えると思います。そこにBIが導入されるとなると、労働の減少によりますます経済活動は縮小するでしょう。そもそもBIのある社会は労働を求めていません。いまの社会では、個人が生活基盤をつくるため、企業が経済的成長をとげるため、国家が税収による財源を確保するためによって動いている経済活動ですが、BIがあると、根本をなす「個人の生活基盤確保のための労働」の概念が変わるので、相関関係にある企業と国家の経済活動システムも自ずと変化すると思うのです。その先にあるのは、国家が経済に介入しない新自由主義システムが働くのではと思っています。

(※BIと新自由主義は関連性が高い事柄なので、今後より探っていきたいと思います。)

 

⑧AIによる人間の労働の減少

上記ではBI導入ありきで経済システムについて触れましたが、その導入時期はテクノロジーの発展と大いに関連するでしょう。ニュースで毎日耳にするようになったビッグデータ、AI、IoT, etc.これらが人間の労働を代替するのは時間の問題です。2045年には人工知能の総和が人間の知能を超えると言われているように(シンギュラリティー)、人間の労働の減少は自明の理です。AIがもたらす価値とはたとえば、製造、流通、医療、移動、行政など多岐に渡ります。これらが全てテクノロジーで代替可能なのです。もはや人が働く余地がありません。テクノロジーの変化と比例して減少する人間の労働。しかし貨幣経済であり続ける限り所得の確保は必要であるため、必然的にBIは社会に求められるシステムになると考えています。

 

さて、ここまで8点にわけて疑問と想定される状況を探ってみました。既述した以外にも、起こりうる状況はまだまだ想定されます。自分の理解をさらに深められたタイミングで、改めて探っていきたいと思います。

この記事が、少しでも起こりうる未来とBIのある社会を想定する一助になれば幸いです。